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トルコ系遊牧民の西方拡大と「草原のシルクロード」に関する総合的研究

Comprehensive study on the western expansion of Turkish nomads and the”SilkRoadinthesteppe”
2022~2023年度

研究代表者

中田 裕子(農学部・准教授)

共同研究者

村岡 倫(文学部・教授)
李 錦綉(中国社会科学院・研究員)

研究種別

共同研究

概要

 本研究では、モンゴル高原で勃興したトルコ系遊牧民の西遷と拡大に関して、これまで未調査であったカザフスタンの遺跡調査、新発見の碑文史料などから再検討を行うことを目的とする。
 従来、日本におけるトルコ系遊牧民に関する研究は、主にモンゴル・中国など、ユーラシア東部に偏ってなされてきたため、彼らの西遷経路や拡大については、重要な課題であるにもかかわらず、ほとんど解明されていない。しかし、2008 年、カザフスタン国南部のカラトベ遺跡で、東突厥で使用された文字体系とは異なる古代突厥文字が刻まれた陶片、ソグド文化の影響をうけた陶片も発見された。また、カザフスタン南部はシルクロード交易の重要なルートが存在するが、その詳細は明らかとなっていない。本研究では、現地で未調査の遺跡や碑文などの新出史料に関する調査を行い、その西遷と拡大、さらに草原のシルクロードが果たした重要な役割を解明することを目的とする。
 またトルコ系遊牧民がユーラシア大陸においてどのように拡大・分布を明らかにすることは、現在のトルコ系の流れをくむ人々のアイデンティティーの源流を解明することにつながり、現在のウイグルなどに見られる民族問題にも寄与することと確信している。