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指定研究プロジェクト「異文化理解と多文化共生―仏教・キリスト教・イスラームの実践的対話に向けた比較宗教学―」トルコ講演会開催報告

2025.02.26

 2025年2月18日・19日、本指定研究の一環としてトルコの首都アンカラで、仏教の紹介とともに仏教・イスラームの比較研究に関する講演会が開催されました。講演者は本指定研究から佐野東生(代表・国際学部教授)、嵩満也(国際学部教授)、井上善幸(文学部教授)3名、および日本学術振興会外国人特別研究員として本学滞在中のセピ―デ・アフラーシュテ氏が加わり、2日にわたりそれぞれ講演(英語)を行いました。

 2月18日の講演はアンカラ大学神学部で行われ、同学部のドゥルムシュ・アルク教授が主宰し、アンカラ大学APAM(アジア大平洋研究開発センター)所長のメルトハン・デュンダル教授をコーディネーターとして開催されました(写真1:ポスター)。

写真1:ポスター

 講演はイスラーム圏における仏教理解を主旨とし、佐野らによる開会挨拶のあと、嵩が大乗仏教と浄土真宗の成立に至る思想的背景の説明を行い(写真2)、井上が浄土真宗の念仏思想について法然・親鸞を例に解説を行いました(写真3)。質疑も活発で、総じて聴講者らの仏教理解が促進されたといえます(写真4:講演会前の昼食会)。

写真2
写真3
写真4:講演会前の昼食会

 2月19日の講演はアンカラ社会科学大学で、日本語学科の学生ら多くの聴講者が参加し行われました(写真5:ポスター)。

写真5:ポスター

 同大学のオスマン・クルト副学長の挨拶のあと、コーディネーターのヒガシトツ・クトゥルク教授の司会で、佐野がイスラームのズィクルと仏教の念仏を、他力思想と神仏の愛を軸に比較し(写真6)、アフラーシュテが信心のあり方について親鸞思想とルーミー思想を比較して論じました(写真7)。

写真6
写真7

 質疑は聴講者によりイスラーム的視点から活発になされ(写真8)、両宗教の比較考察を行う上で重要であったといえます(写真9:記念写真)。

写真8
写真9

 総じて本講演会は、トルコにおける学術的な仏教・浄土真宗の紹介の端緒となるとともに、本指定研究の主旨である両宗教の比較考察、対話に向けた一歩となる点で有意義な機会でした。