国際社会文化研究所シンポジウム「公共空間の再編と⽣活空間の⾏⽅」開催報告
2025.02.05
2025年1月16日(木)、龍谷大学 国際社会文化研究所では、シンポジウム「公共空間の再編と⽣活空間の⾏⽅」を深草キャンパスで開催しました。
本シンポジウムは、国家や大企業が主導しておこなわれるさまざまな「開発」が、現地の人々の生活空間に引き起こす問題を議論することを目的として企画されました。
第1部では、第1講演者の阿部 小涼 氏(琉球大学・教授)が「沖縄基地問題と開発」と題した講演で、米軍と日本政府、産業界がそれぞれの利益を最大化するために大規模開発を進め、その裏で人々の生活が脅かされている現状を報告し、その背景にある植民地主義的な社会構造を提示したうえで、沖縄の市民が被るさまざまな被害(沖縄差別や米軍兵士によるレイプなど)がその構造に由来していることを明らかにしました。
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続いて、第2講演者のセシル・浅沼=ブリス 氏(フランス国立科学センター・研究員)は「福島復興政策の現状」と題した講演で、福島原発事故による深刻な放射能汚染による帰還困難地域において、そこでの復興政策が避難中の住民の意向を無視し、大手開発業者による再開発事業それ自体が目的とされていく過程と、現在避難中の住民が直面している困難を報告しました。
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さらに、第3講演者の原口 剛 氏(神戸大学・准教授)は、今年開催予定の大阪万博を事例として、関西地方の土地開発の歴史を振り返りつつ、これまでの開発主義が時代状況にそぐわなくなっているにもかかわらず継続されている現状と、そこで生じている諸問題を報告しました。
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第2部では、本学社会学部 教授 村澤 真保呂が司会を務め、講演者3名とディスカッサントの本学国際学部 教授 清水 耕介と社会学部 准教授 清家 竜介をまじえてパネルディスカッションをおこない、大規模開発が引き起こした公共空間の再編とその結果として生じた生活空間の変容について議論をおこない、学際的な課題について理解を深めました。
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