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指定研究プロジェクト「異文化理解と多文化共生」国際社会文化研究所叢書出版記念講演会&研究講演会開催報告

2024.08.05

 7月29日(月)11:00~15:00にかけて、「国際社会文化研究所指定研究『異文化理解と多文化共生』社文研叢書出版記念講演会:世界の比較宗教文化を考える」と題し、国際社会文化研究所指定研究「異文化理解と多文化共生―神秘主義思想とその実践を通じたイスラームとキリスト教の共生を探って―」(代表:佐野 東生・国際学部教授)(2018~2021年度)の研究成果として出版された『キリスト教とイスラーム・対立から共生へ―神秘思想にみる聖人・悪魔観―』(佐野/久松 英二・国際学部教授共編:晃洋書房)(国際社会文化研究所叢書第33巻)(写真1)の出版記念講演会と、「仏教・キリスト教・イスラームの実践的対話に向けた比較宗教学―」(代表:佐野 東生・国際学部教授)(2022~2024年度)の研究講演会が連続で開催されました。

写真1:国際社会文化研究所叢書第33巻『キリスト教とイスラーム・対立から共生へ―神秘思想にみる聖人・悪魔観―』

 第一部の出版記念講演会(11:00~12:30)(於深草キャンパス22-301)では、佐野により本叢書の簡単な紹介がなされたあと、2024年度2月に実施された本指定研究のギリシア調査報告が久松によりなされ、ギリシア正教会のオシオス・ルカス修道院、メテオラ修道院などの聖人崇拝、イコン画などの模様が説明され、パロス島教会での日曜ミサの映像が流されました。

 次いで本叢書の執筆者の一人・平野 貴大・筑波大学助教により、「イスラームからみた十二使徒の正統性とキリスト教の逸脱の原因について」と題する講演がなされ、イスラームからみたイエス、十二使徒の正統性と、パウロによるキリスト教の逸脱についてわかりやすい説明がなされました(写真2)。  

写真2:平野氏による講演

 第二部の研究講演会では、アリーレザー・レザーイ・国際日本文化研究センター共同研究員により、「神とかけて天と解く。その心は?―『ルバイヤート』から考える無常における神と天の責任追及―」と題する講演がなされ、12世紀のペルシアの詩人・科学者ウマル・ハイヤームの著名な詩集『ルバイヤート』に反映するイラン文化的背景に基づくイスラームの神による無常観と仏教の無常観が比較、論じられました。イスラームにおける理性と信仰の揺らぎをめぐり、活発な質疑応答がなされました。総じて本連続講演会は比較宗教文化を再考する意味で有意義な機会であったといえます。

平野氏 講演資料