比較地域研究による社会的連帯経済の可能性と限界性:三重(さんじゅう)運動の視点からの考察
Possibilities and Limitations of Social and Solidarity Economy through Comparing Localities: Applying Triple Movement Perspective
2023~2024年度
研究代表者
斎藤 文彦(国際学部・教授)
共同研究者
藤井 敦史(立教大学・教授)
研究種別
共同研究
概要
資本主義のもとでの人類の幸福実現は曲がり角に来ている、との認識が広まりつつあった中で、2020年には新型コロナウィルスの感染爆発が発生した。これは世界的危機であるが、他方変革の好機でもある。コロナ禍前から資本主義を補完する新しい経済の1つとして考えられていたのが社会的連帯経済(SSE)である。本研究は、日本と大韓民国、南アフリカ共和国という三ヵ国における地域経済の比較研究を通じて、どのようにすればSSEが誕生・定着し、所得水準のみではない人間らしい「豊かさ」を実感できるコミュニティーを実現できるのかについて研究する。とりわけ協同組合と社会的企業に着目し、①経済主体の自律性の確保、②社会的セーフティネット機能の補完、③地域における平等や公平性の実現という3つの要因間の肯定的ならびに否定的な相互作用の関係を包括的に理解する。それによって、普遍的教訓ではなく状況ごとに異なりはするが、有効な政策的示唆を得ることを目指す。